9月8日。
初めの電話がかかってきたのは、6時30くらいか。
そして、やっと上野からの長話から解放されたかと安堵していたら、すぐにまた電話がかかってきた。
上野曰く、寺田が電話に出ない…と、いやいや、みんながみんな、3コール以内に電話に出る訳じゃないからね!
【以下録音内容を抜粋・加筆・訂正等】
「Cさんさ、K町の土地さ、私の名義なんだよ。お金返せなければ、それを売るから。売るか、貸すかで、お金はなんとかなるんさ」
K町の物件は、土地は上野明美、上物は旦那。
T町の物件は、上野明美の名義だが、旦那が仮押さえにしている。
「K町の物件は、抵当とか入ってないの?」私がずっと思っていた疑問。
「入ってないよ、入ってない」とあっさりと答える上野、嘘はないのか?わからない。
マンションを作るときに、担保に入れたけれど、そのあと、抵当は外れたようだ。
「マンションはもう前に売って、そのお金を全部突っ込んだんだけど」え?天気のことを話すように、ずいぶんとこれまたあっさりと言ってのけるな。
パチンコ屋の隣にある3階建てのテナントビルは、娘夫婦に売却した。
8000万で作って、残債が2000万あるが、それは娘夫婦がローンを組み直して返済している。
もちろん、自宅のローンもない。
土地建物込みで3500~4000万で建てた。
父が死んで、上野の名義になっている。
坪単価10万、100坪あるので、1000万にはなる、と上野は皮算用している。
だから、200~400万抵当なんて、十分につけられる、という話だ。
「私、半分やって、あとはCさんと分けて、って寺田さんに言えばいいんでしょ?」
このババア、ホント、金にこだわるな、無欲のはずなのに…。
金の配分とかは、あなたが決めたらいいでしょ?あなたのお金なんだから。
「お盆明けにお金来るわけだったでしょ?そしたらさ、熱中症で倒れちゃったでしょ。それで余った2億分のうち、60万は9月5日に用意できるって、私、言ったでしょ。残りは崖さんが用意して、払ったんだよ。で、私の分を待っててくれたわけ」
この辺がまた曖昧だな。
上野が金を用意できるのが、9月5日。
それでは事務処理が間に合わないので、誰かが仮払いをしていたという理屈。
誰が?大崎が?そんなことするか?と、現実的に考えても仕方がない。
上野は8月末までに払えなかった。
でも、誰かが代わりに払った。
もう、ここで事務処理は完結しているはずじゃないのか?
呑杉さんが死んだのは、8月30日。
事務処理が完結するのは31日の予定だったということか。
「もう少し、早く上野さんがお金を用意できたら、その人にも渡せたのに、って言われてさ」
これは完全に矛盾しているな。
上野の60万は誰かが立て替えているはずだ。
だから、万が一、上野の9月5日の入金がなくても、事務処理は終わっているはずなのだ。
具体的な話になってくると、さすがの田端親ネズミにもボロが出てくるな。
「500万用意しなくちゃいけないのに、たった10万じゃ、本当に申し訳ないな、って思うわけ」なんて親思い、グループ思いのネズミなんだ!やっぱ、あんたすごいネズミだよ。
「教会の牧師さんにさ、年金を担保に30万借りて、戻ってきたお金で1000万くらい寄付すればいいじゃん」
なんか、ほんと、意地汚い成金の発想だよな、このばあさん。
「少しは信じてもらえてうれしい。1%でもね」とほほを緩める上野。
うん、もちろん、少しも信じてないよ!
「上野さんのことは信じてるんだよ。でも、会ったこともない人のことは信じられないって、ただそれだけ」
「うん、わかってる。でも、そんな中で、こんな会話ができたってことが、私はうれしい。ありがとう」まるきり恋する乙女のような上野明美であった。
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