確かに私はまた連絡くださいって言ったよ。
でも、その日のうちにまたかけて来るかね?
あ、そういえば「伝えること」ってなんだだったけ?
その疑問はすぐに解けた。
【以下録音内容を抜粋・加筆・訂正等】
「また録音してる?」
上野明美の第一声はそれだった。
「あのブログ取り下げてもらうには…」
声を出したいけど、話したくない、実に悩ましいジレンマに上野は襲われていた。
そんな上野ネズミをもてあそぶかのように、私は極力しゃべらない。
「もしもし」
「はい?」
意味のない会話、無駄な時間。
「録音してるもんね」
「はい」
録音にこだわる上野だった。
なぜか?
「ブログを取り下げるには、って書いてあったし、読み上げたでしょ?」
「もう一度読んでくれる?」
「もう一度?人間の言葉がわかる人を連れてきてもらえますか?(ネズミちゃん)」
「うんうんうん」
「あなた(ネズミ)に何度言っても、多分伝わらないから。じゃ、今から娘さんちに電話した方がいいですか?」
「いい、しなくていい。大丈夫。でも、10月の末までは待つって言ってくれたもんね」
「うんん?」
いったいこのネズミは何がしたいの?
「1回お会いします?」人間の私が優しい提案。
「また、録音するものね」
録音を過度に嫌がるネズミちゃん。
「はい、します。録音じゃなくてカメラ回しますよ」
言葉を失うかわいそうな上野明美。
さあ、答え合わせのお時間です。
なぜ上野はこれほど「録音」にこだわるのか?
実は、この電話の1時間前くらいに、上野から電話があり、そこで本人が「私(C)の伝えたいこと」を教えてくれた。
「あなた、動画をアップしてますね」と上野は私に言った。
そうなのだ。
上野が恐れていたのは「録音」ではなく、録音された動画を「アップロード」されることだったのだ。
そして、それを拡散されることを、心の底から恐れているようだ。
上野の知り合いが、動画をたまたま見つけた、と上野は言う。
そんなことあるか?
ショート動画でもせいぜい1500前後しか見られていない。
普通の動画はみな一桁だ。
それなのに、そんなにピンポイントで私の動画に、たまたまたどり着くものなのだろうか?
第一発見者に聞けば、正解はわかるだろう。
電話の最中、録音、録音うるさかったので、その時の電話は録音しなかった、人の情けというやつだ。
ただ、次からの電話はまた録音するよ、と伝えてある。
だから、しばらくは電話が来ないものだと思っていたのだが、このありさまだ。
上野は私を説得してブログと動画をやめさせたい。
しかし、説得するために電話をすることで、録音され、アップロードされ、それをブログにされるという、自らが拡散しかねないというジレンマに陥っているのだ。
>>>完 にしたいよ、もう
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