2021年12月29日 高田永子との賭け 誓約書

 


誓約書


高田永子(以下甲)は、高田C(以下乙)との間で、以下のことを誓うことを約束いたします


A 2022年1月31日までにまとまったお金が、甲の元に戻ってきた場合

1)10万円以上100万円未満 甲の乙に対する債務の免除

2)100万円以上600万円未満 上記1)及び、乙から甲に対して謝罪、および慰謝料として乙の資産から50万円

3)600万円以上 上記1)2)及び、慰謝料高田家の資産から50万円


その他甲の望むことを4)として1つ


4)


B 2022年1月31日までにまとまったお金(10万円以上)が、甲の元に戻ってこなかった場合

1) 甲はキリスト者としての考えを改め、科学的な事実、根拠に基づいて判断するように努める

2) 甲は乙に対して、月に1回、甲の通帳を開示するなどして、甲の経済状況を乙に教えることとする

3) 甲は自己の誤りを認め、乙と月に数回程度、話し合いの時を持つこととする

  この際のやり取りは公正をきすため、録画・録音するものとし、その際のデータは乙の自由とするものとする

  また、乙が甲とのやり取りにおいてかかる諸経費は、甲の負担とするものとするが、甲の完全回復をもって支払いの義務が生じるものとする


上記の誓約書を12月28日に作成した。

義母の高田永子が署名をするかどうか?それは半々だった。

仮にサインしてくれれば、比較的穏便に話し合いに移行でき、サインしてくれなくても、こちらにとってはデメリットはない。

そもそも誓約書のサインなどなくても、年明けから上野明美への取り立てを開始しようとしていたからだ。

もちろん、それに伴って、永子のこれまでの所業に関して、厳しく問いただすつもりだった。

サインがあれば、オトナとして穏やかに、サインがなければ、大人として厳しく接する予定だった。


2021年12月29日の朝、妻のヒカリは下の子ザルを皮膚科に連れていき、朝の9時には二人は不在になった。

上の子ザルは2階で、レゴブロックに興じている。

義父の優は、2日前に来たばかりの介護ベッドで、余生を送っていた。

私は洗い物をしている義母の永子に声をかけた。


「お義母さん、用事が済んだら少しいいですか?」

10分後、義母が来ると同時に、上の子ザルもやって来て、いつもと違う厳しい表情の私を恐れてか、私にしがみつき、私の顔を見ようとしなかった。


「お義母さん、誓約書を作ったので、よかったらサインしてくれませんか?」

「?」

「もちろん、お義母さんには断る権利はあります。ただ、話をするにあたって、何かしらの取り決めがないと、言った言わないだの、そういう子供じみた話になるのが嫌なんですよね」

「…」

こちらの一方的な物言いに、義母は明らかに理解していない様子だった。

私は構わず、上記の誓約書の文言を読み上げた。

それから、私は続けた。


「前提として、お義母さんはお金が戻って来るっていう、それは変わらないわけですよね」

「もちろん」そこは自信満々に答える。

「私としては、お金はもう戻って来ないものとして、話を進めたいと思っているんですよ。だって、実際、お義母さんが4月の時点、5月の時点で、来月にはお金が戻って来るって言っておいて、実際は戻ってこなかったじゃないですか?あれって戻ってきたんですか?」

「戻って来なかったけど」

「そうですよね。で、今回、また、また、お義母さんは懲りずにお金が戻ってくる前提で話をしようとしているじゃないですか」

「だって、戻ってくるって言うから」

「だから、ですよ。話でね、お話でこういうやりとりでなく、後になって第三者が分かる形で、あの時お義母さんはこう言った。私Cはこう言った、って形として残った方がお互いのためになるかと思っているんですよ。それのどこが気に入らないんですか?」

「こういうのが嫌なのよね」

「こういうのって、約束事が?」

「いや、かたちにするっていうのが」

「はぁ?!」と私は思った。

「こういう風に形にしてないから、ダメだったんでしょ?上野さんは認めたからいいですよ、でも、田端に渡ったその他のお金は、まったく形に残ってないんだから、向こうが知らないと言えばそれまでですよ」

たぶんこの人はよほどのお人好しか、真正のバカなのであろう。

渋る永子との同じようなやり取り、私の腕の中で小刻みに震える子ザル、子ザルはこの日の出来事を生涯忘れることはできないであろうか?


「お義母さん。お義母さんは、お金が戻って来るって、本当に信じているんですよね?」

「ええ」

「だったら、署名するくらい簡単でしょ?お金が戻ってくるなら、Bのことは全くなしになるんですから」

その後も数分、同じようなやり取りを繰り返した。

時間はたっぷりある、根負けした方が負けだ。

「う~ん」とうなってから、永子はようやくペンをとり、誓約書に署名した。

「ありがとうございました」私は慇懃無礼にそう言い、おびえた目をした子ザルを連れて、署名済の誓約書をもって部屋から出て行った。


署名済の誓約書は手に入った。

これがのちにどう作用するかはわからない。

でも、形を集めることは、どう考えても重要なことのように私には思えるのだった。

ちなみに4)に関しては、特に望むことはないということで、不必要とのことだった。

人がいいというのか、何も考えていないというのか、できることなら前者であってほしいものである。



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