10時少し前、その男はやってきた。
上野来夫(仮名)。
なりは小さく痩せているが、生力は人一倍ありそうな初老の男だ。
私は、その男に近づき、「高田です。何か困ったことがあったら、相談してください」と、名刺を渡した。
来夫は、一瞬だけ考えた後、すぐに私のことがわかったようだ。
「困ったこと?おたくのお母さん。お母さんにお金を貸していて、返ってきてないんだよ」と来夫は言う。
これは、本当のことなのか?ブラフなのか?
「聞いてみなよ、お母さんに」
「いくら貸しているんですか?」と私。
「わからない」
「わからない?金は貸している、でも、いくら貸しているか、わからない?そんなことあるの?」
「だから、お母さんに聞いてみろって」
「聞いてみろって、借用書はあるの?」
「そんなのないよ」
「借用書もない、いくら貸しているかもわからない、でも、金は貸している」
「そうだよ、おたくのねお父さんが入院した時、3回にわけて、貸してるの」
「いやいや、俄には信じられないなぁ」
「だから、お母さんに聞いてみろって」
あなたならどう思い、どう行動しますか?
「あなたが、困ったことないか聞いてるから、それを話しただけだよ」と上野来夫は言う。
なるほど、そういうことか。
直接的にブログや動画に関して突っかかってくるかと思ったのだが、違う角度で困っていたようだ。
「上野さん、私はあなたの奥さんに金を貸しているからね」
「借用書は?」
「今はないよ」
「なんだ、じゃあ、同じじゃないか」
私は常時車の中に借用書のコピーをおいてある。
しかし、それはまだ見せない。
「あんた、なんか動画かなんかをズラーとやってるみたいだけど」
「なんのこと?」私はしらをきる。
「そっちはね、もう、動いてるから、娘の方も、私たちも」
どうぞ、ご勝手に、というか、代理人の方、早目にご連絡ください。
otasukekaimyou@gmail.com
私が、1900万、上野に引っ張られたことを話すと、自分たちも被害者なんだよ、というスタンス。
「その件で、もう、警察に行ってるから。何か話があるなら、警察に行ってくれ」と担当刑事の名刺を見せてくれた。
自分たちは被害者で、もう警察に任せてるから…。
上野家のみなさんは、自分たちで何かしらの行動をとっているのだろうか?
上野明美は、私が上野にしたように、録音を集め、証拠を集めているのだろうか?
甚だ怪しい。
上野来夫と初対峙し、収穫はなかったが、なんとなく来夫の人となりはわかった。
負けん気が強い、町工場の社長といった感じだ。
たまたま、バブルの波に乗っかっただけなのに、それを自分の能力と勘違いしている、昭和の遺物である。
来夫との別れ際、来夫の乗ってきた車をよく見ると、なんてことはない、さっき戸谷塚に停まっていた車ではないか!
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