ネズミになりきれ


私の仕事仲間にDさんという人がいる。

Dさんは、社長と古くからの付き合いで、長く親友関係にある。

親友だからといって、仕事ができるとは限らない。

Dさんは、少しというか、だいぶいい加減なところがあって、時々、客先からクレームをもらっていた。

そんなDさんと仕事をするのは、私としては正直しんどい。

しかし、なんといっても、社長の親友枠なのだ。

立場としては、私の方が断然弱い。


Dさんは、ある創庫業務を全面委託されていて、その業務報告の日報を挙げてもらっている。

その倉庫業務の親会社は、月締めの請求書を早くよこすように毎月うるさい。

そのため、その会社に携わっている者には、月次の業務報告を翌月1日午前までに報告するよう通達している。


Dさん以外は、きちんと会社からの通達を守っている。

Dさんは、時々日をまたいで業務報告をすることがある。

普段であれば構わない。

しかし、月またぎのそれは困る、非常に。

月初の1日の夜とか、2日の昼に、前月31日の業務報告をされても、困るのだ。


なぜなら、私は大体月初1日に請求書を作り、それをすぐにメールしているのだから。

さらに困ることに、たいがい先方からOKをもらっている!

修正の業務報告をするということは、先方がミスを見落としていると指摘することなのだ。


今まで何度もDさんが月またぎの報告あげ、その都度、謝罪と訂正のメールを先方に送っている。

社長を通じ、Dさんには何度も言った。

しかし、忘れた頃に、Dさんは同じように月またぎの業務報告をする。

同じことの繰り返しだ、やれやれ。


私はある時、思い至った。


このDさんという人は、フォークが乗れて、言葉の通じるゴリラなのだと。


それ以来、私はDさんのそのような月またぎの業務報告にも感情を動かされずに済んだ。

先方に誤りのメールをすればいいだけの話だ。

それで済めばいいじゃないか。

だって、Dさんはゴリラなのだから…。


ゴリラなんだから、忘れがちでも日報をあげるなんて大したものではないか。

何をそんなに求めているのだ、相手はゴリラなんだ。


そんなゴリラが、頂き女子ちゃんに、新車のアルファード1台分買えるくらいのお金を貢いだところで仕方ないではないか。

だって、人間じゃない、ゴリラなんだから。


上野明美にしても高田永子にしても、相手は人間ではなくネズミだと思うことにした。

相手が人間だと思うから、こちらもそれに合わせ、議論が白熱し、互いの話も聞かず、意見も噛み合わない。

相手がネズミだと思えば、少しは変わるだろう。

少しは話のわかるネズミが出てきた、となるかもしれない。

私もネズミの皮をかぶって、上野や高田の婆さんと向き合おうと思う。

ネズミのことを知りたければ、ネズミになりきるしかない。


全集チュウ ネズミの呼吸 参の型 チュウ返り


それにしても、身近で2件の詐欺事件、それも現在進行形のものがあるなんて…。



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