正しいことをしている側が逮捕されるリスク

警察が詐欺師を逮捕するのは、本当に難しい。

詐欺罪の構成要件は、「①人を欺く行為(欺罔行為)」、「②被害者が錯誤に陥ること」、「③被害者が財物を交付するなどの財産上の処分行為をすること」、「④これらの一連の流れによって財産(または財産上の利益)が移転すること」の4つです。これらの要件がすべて満たされ、一連の因果関係をもって繋がっている場合に、詐欺罪が成立します。

そもそも①を立証するのが難しい。

①人を欺く行為(欺罔行為)…嘘をつく、都合の悪い事実を隠すなど、相手を騙す意図をもって行われる行為です

裏を返せば、騙す意図がなければ、もうその時点で詐欺とは言えなくなるわけだ。


世の中に「詐欺だ、詐欺だ」って言葉が氾濫しているが、本物の「詐欺」は、言葉ほどには成立しない。

みんなが簡単に使っているだけで、成立させるにはそれなりにハードルが高いのだ。


例えば、ある事業に投資をした。

数年後、事業がうまくいかなくなって、その組織は解散した。

投資したお金は返ってこない。

投資した側としては「詐欺だ!」と叫びたい。

だが、世の中的には、単に事業の失敗である。

投資家を騙す意図があれば、それは詐欺だ。

しかし、騙す意図がなければ、無能な経営者にお金を預け、ただ事業が失敗しただけ、ただそれだけ。


上野や高田のばあさんが、はまっている対面型の詐欺は、ここのゾーンをうまく利用している。

つまり、騙す意図がなければ、やりたい放題なのである。

「現に活動もしているし、騙していない」と言われたら、それまでのことなのだ。

経営下手な経営者の会社に投資するのと同じことだ。

その投資行動は自己責任であり、刑事事件でもなんでもないのだから、警察も動きようがない。



警察というのは、良くも悪くも中立な立場にいる。

警察が動く判断基準は、当たり前のことだけど、法に反しているかどうか。

明らかに向こうが詐欺的行為をしていたとしたも、それを簡単に捕まえることはできない。

※詐欺と詐欺的行為は別物。詐欺的行為というのは、個人的な情も含まれるので、詐欺“的”と曖昧性を帯びてしまう

向こうを捕まえるどころか、法を犯していれば、こちらが捕まるリスクさえある。

それをKENZO氏は体を張って体現している。ありがたい限りだ。


刑事罰 

・不法侵入…正当な理由なく他人の住居や建造物に侵入する行為。法的には「住居侵入罪」「建造物侵入罪」

これが一番厄介な法律。この動画でも、警察は、会員制のセミナーに勝手に入れば、不法侵入が該当するようなことを言っている。コンビニのトイレなんかも、買い物をしないでトイレだけ利用したりすると、適用条件にあてはまる。

・暴行罪…他人の身体に対して暴力など不法な有形力を行使する犯罪で、被害者が怪我を負わなかった場合に成立。殴る・蹴るだけでなく、物を投げつける・大声で脅かすなどの行為も含まれ、被害者に怪我があれば傷害罪が成立し、暴行罪とは区別される。

・器物損壊罪…他人の物を壊したり、使用に支障をきたしたりする行為

・威力業務妨害罪…他者を威圧するような力や行為(例えば、暴力、脅迫、騒音行為など)を用いて、人の業務を妨害した際に成立する。具体的な例としては、店舗内で暴れる行為、執拗なクレーム、爆破予告の書き込みなどが該当

セミナーの途中で「詐欺だ」「騙されてるよ」などと業務を妨害すれば、成立しかねない。KENZO氏は、それをわかっていて、セミナー終了後に動いている。

・強要罪…暴行や脅迫を手段として、相手に義務のない行為をさせたり、権利の行使を妨害したりする犯罪

・脅迫罪…脅迫罪の構成要件は、「本人または親族の生命、身体、自由、名誉、財産に対して危害を加える旨を告知する行為(害悪の告知)」と、その行為が一般人(被告知者)を畏怖させる程度であること、そしてその行為をする行為者の「故意(認識)」の3つ

動画内で藤田海斗氏が「あなた、私のことを詐欺だって脅迫したじゃない?!」と言っているが、もちろん、上記内容から鑑み、脅迫罪にはあたらない。

・名誉棄損罪…公然と事実等を指摘して人の名誉を傷つける行為(=社会的評価を低下させる行為)に適用される。摘示した事実が真実かどうかは関係ない。

藤田氏は、こっちならいけるかな?ただ刑事罰としてはハードルが高そう。



民事(民法上の不法行為)

・肖像権侵害…本人の承諾なく自分の顔や姿態を撮影・公表すること。侵害行為には、無断での撮影、SNS等への写真・動画の無断投稿、他者が撮影した写真の無断転載などが含まれる。侵害された場合、被写体は投稿の削除や損害賠償の請求が可能で、一般的に弁護士への相談が推奨される。

・著作権侵害…著作権者の許可を得ずに著作物(イラスト、音楽、文章、写真、動画など)をコピーしたり、改変したり、インターネット上にアップロードしたりする行為

・プライバシー侵害…個人の「知られたくない私生活の情報」が本人の意に反して他人に知られたり、公開されたりすること。具体的には、不正な情報収集、情報漏洩、盗聴、盗撮、そしてネット上での情報公開などが該当。このような行為により不快感や不利益が生じた場合、民法上の不法行為として損害賠償請求が可能


警察としては、民事不介入。

よって、上の民法上の不法行為に関しては、警察は動かない。



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