寺田氏と連絡が取れない上野明美。
もう期日も迫っているので、気もそぞろ。
昨日、私と約束しておいたので、上野はそれを頼みに私に電話をしてきた。
【以下録音内容を抜粋・加筆・訂正等】
「寺田さんが電話に出ないのですが、寺田さんが私に貸すといったお金。それについて、ちょっと確認して下さい」
お金よりも確約がほしい上野。
信用第一の世界なのだ。
「寺田さんが貸す、貸さないはいいけど。寺田さんが私に貸すって言って、そのことはいったいどうことなのかと」
信用第一はどうなってるの!と言いたげな上野である。
「寺田さんは、貸したがっているんだけどね。ないんだよね、寺田さんのお金」と私。「寺田さん、ドル建てで用意できるかな?上野さん、ドルで受け取れる?」
この一連のやり取りは一種のエンターテインメントですから、肩の力を抜いてお読みください。
以前、ノムダさんを紹介していて、彼ならお金を用意できるかもと私が提案しても、「あの人、電話に出ないから、紹介しなくていいよ」とかたくなに拒む上野。
お金が欲しいんじゃなくて、信用問題なんですよ、寺田さん、わかってます?
「貸してくれるって言っておきながら、貸さないって、嘘をつくような、そんな悪い人には、寺田さんは思えないからさ」と上野。
「寺田さんの不動産の方の家賃収入。それが入るタイミングなので、ちょっとそこから用立てることはできないか、聞いてみますよ」と私。
「あ、そ、聞いてみてくれる」とうれしげな上野明美。「私も寺田さんをあてにしてたからさ」
「これだけは言いたいんだけど、私、高田のおばあちゃんをだましたわけじゃないからね。高田のおばあちゃんもわかってて、田端さんにお金を渡していたんで、私も高田さんも同じなの。私だけが詐欺みたいなことをして、高田さんをだましたって誤解されると困るなって話」
言いたいことはわかる。
言いたいことはわかるが、それじゃなぜ借用書を書いたのだ?
ねぇ、上野さん。
「寺田さんが、私に貸すっていって、そのお金は高田さんにもらって、って話。これにかんしてはどうなのかな?」核心をつく上野明美だった。
私は答える「寺田さんから預かってたお金。あれね、溶けちゃったんだよね、株で全部パーになっちゃった」
「あ、そう…」寺田氏のお金が私の手元にないことを知った上野は、心底がっかりしたようだ。
さらに私は追い打ちをかける。
「寺田さんから預かってたお金、2000万。もうほとんど溶けちゃったんだよね」
寺田氏のお金があるどころか、寺田氏から預かったお金はすっからかん。
それどころか、寺田氏への支払いのため、毎月、私も10万ずつ出している。
寺田氏の言っていた10万円はそのお金だったのだが、今月はそれも株で溶かしてしまったのである!
「だから、実のところ私も大変なんですよ」と、大変だアピールをして、少しだけ仲間意識を持たせてみた。
「だから、私のもとに入ったお金を寺田さんは抑えようとしているわけだ」頭の回転の速いばばあである。「それも困るよね」仲間意識、信用意識は大切ですよ!
「私は誰を信じていいかわかんないけど」誰かを信じたい上野明美。「あなたと寺田さん、どっちを信じていいのかわからない」私と寺田氏でばばあの取り合いだ。
「寺田さんから預かってたお金、それを投資に回して失敗しちゃったって、それはしようがないんじゃない?」実に優しい上野である。
何度も投資に失敗している上野。
いいときもあれば悪い時もある、そのことを実によくわかっている。
そして、その心がけを悪用されてしまっている上野明美だった。
「世の中大変だよね。だから、早めに返さないとね」ここでも仲間意識を植え付けることに成功したはずだ。
私はあなたの敵ではない。
立場は違えど、状況は似たり寄ったりなのだ。
ともにこの難局を乗り越えよう!
私と上野は、同士になった、はずである。
次は高田永子から情報を集めることにしよう。
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