私を信じてお金を貸してほしい、上野明美の目的はそれだけである。
私が話をはぐらかせたり、自由にしゃべらせたりして、貴重な情報がかなり手に入った。
【以下録音内容を抜粋・加筆・訂正等】
「半月ぐらいで高田さんたちには、返せると思うんだ」上野は、かけた以上の金がすぐに戻ってくると、しきりに強調する。
「まぁまぁ、けっこう、私に1億くらいは来ると思うよ。高田さんは2000万かもしれないけど、私は2億くらいは使ってると思うよ」
寺田氏に借りたい12万円は、余ってる分の費用であり、上野のばあさんは、もうすでに120万くらいは自分で用立てて、渡しているのだろう。
他のネズミたちは頑張ってお金を集めて、いい思いをしてるよ~、と親ネズミに諭されているのだろう。
言葉に熱を帯び始めた上野明美。
初めに登録した同列のネズミたちにお金がないときも、上野は一生懸命お金を集めていた。
会社の金を使い込み、固定資産税や消費税も滞納し、今、親族がせっせと払っている。
「固定資産税を払わなかったら競売にかかるところだった」と上野。
「でもさ、あれは旦那とか娘の名義じゃないの?」
「私の名義だよ。だって私の名前の土地だもん」
嘘をつく必要のない上野が言っているから本当なのだろう。
名義は親族の誰かにしろ、不動産物件は、上野家のもののようだ。抵当とかないのかな?
「私と私の旦那で、あそこの家を建てたん。そしたら、私の家がよくて、おじいちゃんとおばあちゃんが来たん。裏に実家がある。長男がそこに住んでる」
「二人で頑張って作った。共有ね、建物共有」
なるほど、土地は上野明美で、上物は旦那と共有の資産ということなのだろう。
消費税800万円・固定資産税400万円。
上野が会社や家族の口座を管理していた時、それをほとんど親ネズミに流していたのだろう。
「婿さんの実家の住所がわからないから、住民票とったよ、私、親だからとれたよ」
この素晴らしき執念たるや。
「その時は、田端さん、お金がないって、出さないよ。でも、出さなきゃさ、ダメじゃん。そこで終わらせたらダメじゃん。だから、私、出したよ」
田端照代は上野明美の親ネズミだ。
そして、田端ネズミの上に親玉詐欺師の大崎サギネズミがいる。
田端ネズミと大崎サギネズミの関係性は、田端ネズミと上野ネズミの関係性と違うのだろう。
自らは金を出さず、子ネズミたちに金を集めさせている田端は、ほぼ大崎と同格だと思われる。
「田端さんは、自分がお金を借りている人は、ちゃんと登録してるん」
登録。上野たちのネズミネットにおいて、これが一種のステータスでもあるのだろう。
さんざん恥ずかしい思いをしてまで、ここまでやっとやってきたのだから、そんな簡単にはあきらめられないの、といった心理のようだ。
「今思うと、貸してくれない人もいた。でも、よかったよ、貸してくれなくて。借りなくてよかった、って思うもん」
2000万円貸している高田のばあさんの立場は!!
本当に傲慢な態度の上野である。
このくらい傲慢さがなければ、嫌なことをやるパワーもわいてこないのだろう。
「今思うと、ほんと、恥ずかしいよ。私は家の周りの人にみんな借りてるからね」
みんなが貸したわけではないだろうが、少なからぬ数のご近所さんが上野にお金を貸しているのは事実である。
もちろん、高田家もご近所さんのうちの1軒。
「私はだまされてるとは思ってない」
「これをしなければ全部パーになる」
ゆえに上野明美は必死で金を集めているのだ。
「自分の性格として、言われたらやり遂げなきゃ、っていう正義感が強いの」
自分の口から「正義感」出ちゃったよ、最悪。
「田端さんはしれっと言うからね。私は自分のお金を出したかどうかかわらない。私が田端さんに振り込んで、田端さんが上に振り込むんだから」
「一度、私、頭にきて、私が振り込んだ振込用紙見せてよ、って田端さんに言ったの。そしたら、もめた。あーだ、こーだ言ってたけど、もう引けないよ」
「私の友達にユメちゃんっているけどさ、水道も電気も止められちゃってさ」
ユメちゃんが一番かわいそう!
「私が働いたお金がみんないっちゃった。でも、なんにも悔いはないよ、自分で信じてしたことだから。だから必要なお金以外、お金はいらないの。お金がほしくてやってるんじゃないの」
ここから重要!(9:00くらい)
「コロナでさ、国から2000万借りたんだよ。そのお金で、静岡の借金とかなんとかを返したの。その前にも2000万円借りてるから4000万返しなさいってなるの。でもそれは私の借金じゃなくて、月光電器だからね」
「会社は保証協会付きだから」保証協会付きだから?だからなんのかはわからない。
「信用金庫からは、破産した方がいいのでは?なんて言われてるけど。まぁ、いろいろだからさ」
上野は、いろいろの中身は説明してくれなかった。
「おばあちゃんの年金、私が使っちゃったから」さらりと言う上野…。
こんなんだったら、上野の保証人として私が確保しておけばよかったかな。
「これで区切りをつけて。ほんと、年取るとお金いらないからね」
上野はお金が目的ではなく、事業の完遂、そして、自分の行っていたことが正しかったという事実を真に欲しているのである。
「今までの人生、仕事ばかりで、旅行も行ってない。趣味なんてもちろんないよ。趣味なんかに呆けてたら、遊んでるって思われるじゃん」熱心なワーカーの鑑である。
「頭っからだまされてる、って言う人に説明しても、伝わらないからね」
う~ん、厄介な問題である。
まずは、お互いが歩み寄りましょうか。
「人に迷惑かけたけど、私と私が応援している人を応援してくれる人がいっぱいいてくれて、ほんとうに感謝だよ」
「高田さんにも、田端さんから言われたことを、そのまま言っただけだから」
これで何千万も金を集められるのだから、たいしたもんだ!
「私は高田さんのお金を一円たりとも自分の懐に入れてないからね」
これはどういう心理なのだろう?
高田の金を田端に渡しただけ、と上野は言う。
だったら、なぜ上野は私の借用書に納得するのだろうか?
すぐにお金は戻るのだから、そんなのどうでもいい!って感じなのだろうか。
「泥沼さんは、自分の取り分の手続き料は出してくれたからね。信じられないって言いながら、出してくれて。田端さんに直接送ってくれたから」
送金に関しては、ワンチャン、田端照代とつながれる可能性はあるということだ。
「ほんと、私ないんだよ、お金、ガソリン代と食事代もらうくらいだもの」
ユメちゃんの次にかわいそうやん。
「だからさ、優しい友達がいるから、食べさせてくれるよ」
もしかしたら、教会がらみの知り合いかもしれない。
知っている人全員に借金のお願いをしている…まぁ、本当なのだろう。
「横浜も行ったよ、宅急便で届いた住所をたよりにね」
静岡と横浜という地名が出てくるんだけど、おそらく上の娘の婿さんの実家が横浜なのだろう。
「でもね、私、クリスチャンじゃなかったんだけど…」
上野はさらに嬉々として話を続けるのであった。
…なんだか、きな臭い雰囲気になってきた。
コメント
コメントを投稿