仕事のできる寺田氏。
月末になり、寺田氏の方から上野に連絡を取った。
「あと12万円出せば、1000万もらえたのに」と、上野はとても残念そうにしている。
【以下録音内容を抜粋・加筆・訂正等】
7月中にお金は返ってこなかったけど、お金は順番で返ってくるから、と言い張る上野明美。
お金は返ってくるんですね、よかった、よかった、と嬉しそうに嘘くさい演技で答える寺田氏。
寺田さんにお金を借りたかったのは、高田さんに余分に返せるかな、という善意の気持ちだったとのこと。
余分に、っていうのが素敵である。
「誰も引き取り手がいないお金がいっぱいある」と上野は言う。
どういうこと?と思いながら、話を聞くと、なるほど詐欺の流れでうまく誘導しているのに気づく。
詐欺の初めは、投資案件でお金を集める。
さんざん、子ネズミや孫ネズミたちにお金を出させ、出し尽くさせる。
上野みたいなバカなばあさんは、長時間、話をするうちに、自分の資産や貯金額など、詐欺師が欲しい、いくらまで引っ張れるかの個人情報をベラベラとしゃべる。
かつてのエステ商法と同じだ。
その後、当初の投資案件は頓挫してしまう。
「渡したお金は戻ってこないの?」と震える子ネズミたち。
「まぁ、投資なので、そんなこともある」と親玉サギネズミに説明され、納得せざるを得ない。
しようがない、ただネズミ同士の口約束しか交わしていないのだから。
「ただ、別の成功している投資先があって、それを清算するので心配ない。今まで出した分プラス利息分くらいは戻せる」と親玉サギネズミは言う。「安心して、私を信じて」
その意味のない言葉に安堵する低能な子ネズミたち。
こうやって、投資案件から清算案件に子ネズミや孫ネズミたちを誘導する。
清算案件の額は、1000万円戻すのに一口12万円。
今や、選別され、洗練された詐欺られプロの子ネズミや孫ネズミたちである。
中には金持ちのネズミもいるし、上野のように熱心なワーカーネズミもいる。
月に12万円くらいならなんとかなる、なんとかする、という算段だ。
実によくできているスキームである。
人は年を取るし、年老いればいつかは死ぬ。
ネットワークネズミたちも同様だ。
詐欺られネットワークに参加していた子ネズミや孫ネズミたちの中には、清算案件でお金を戻せずに死んだネズミも出てくる。
なにせ、詐欺師たちは、年寄りを相手に10年からやっているのだ。
「死んだ人の投資分がそのまま残って、困ちゃってる」とでも親ネズミに言われているのだろう。
上野自身、2億近くつぎ込んでいるのだ。
そんな上級ワーカーネズミが死んだ日には…。
目先の12万円と翌月の1000万円、あなたならどちらをとりますか?という単純な話である。
「名義変更に金がかかる」「消費税で金がかかる」「所得税の控除のために金がかかる」などなど、ちょっと小難しいことを言って、手数料や経費という名目でバカをだましているのだろう。
う~ん、騙される方も騙される方だよな…。
「お金をいくらも出さないのに、今、いっぱいもうかった人もいるよ」と悔しがる上野。
こういう上野のような見栄っ張りのやる気スイッチを押すのが、詐欺師のやつらは本当にうまい!
「高田のおばあちゃんは自分で用意できる分だけ用意した」
そうなんです!
高田のばあさんは、単に上野の被害者ではなく、もう上野の側の人間だったのです!
そして、残念ながら加害者ということになります。
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